Projects

継続中の共同研究

海戦法規の現代的課題とその克服に向けて(2023-2027年度)(基盤研究B)
メンバー(敬称略):新井京(同志社大学)石井由梨佳(防衛大学校)権南希(関西大学)松山沙織(大阪経済法科大学)真山全(大阪学院大学)保井健呉(中京大学)
概要:ますます重要性の高まる海戦法規の抱える現代的課題、特に、重要であるにもかかわらず先行研究では十分に検討が為されていない以下の三点について、いかに整理・解決されるべきかを、ある法とあるべき法の観点から分析する。三点とは、(1) 海洋において平時から武力紛争時への境目が分かりにくくなり(いわゆるグレーゾーン事態の現出)、海戦法規適用の始期が不透明・不適切となり得る問題、(2) 多様化かつ増大する他分野の国際法規則が海戦法規に与える影響、(3) 無人航行・飛行する機器を中心とする、新技術に対する海戦法規による規制の問題、である。

危機の時代における海底ケーブルガバナンス:国際法の視点から(2025-2026年度)(電気通信普及財団研究助成)
メンバー(敬称略):武井良修(慶應義塾大学)佐俣紀仁(武蔵野大学)開出雄介(北海道大学)
概要:ロシア=ウクライナ戦争や台湾周辺海域での問題もあり、近年より注目を集める海底ケーブルについて、具体的には (1)既存の海洋法制度において、海底ケーブルに対していずれの国がどういった権利・利益を持つかといった点、(2)多数の企業が参加するコンソーシアムが国際法違反により被る損害と外交的保護権の関係、 (3)国際ケーブル保護委員会(ICPC)について、その内部規律を分析し、海洋ガバナンスに与える影響の大きさ、及びその正統性、を分析する。

日本水産業の持続可能化に向けて:国際法学の観点から(2024-2025年度)(旭硝子財団研究助成)
メンバー(敬称略):小林友彦(小樽商科大学)來田真依子(大阪経済法科大学)
概要:国際法上、漁業は普遍的な多数国間条約、地域漁業枠組み、そして二国間協定により規律される。多数国間条約や地域漁業枠組みは競争の漁業から持続可能な漁業へと舵を切り、日本も少しずつその方向に動いているものの、それが、漁業大国として国際社会をリードしているとは言い難い。このような背景の下、本研究は、今後、漁業活動を持続可能にしていくために重要と考えられる、(1)漁獲証明制度、(2)漁業補助金制度、(3)二国間委員会の活動、の三つに焦点を当て、日本水産業の具体的な問題点を指摘し、その上で、日本の水産業を国際社会をリードするような持続可能なものとするために、日本はいかなる対応をとるべきか、他の国家による国際法規則の遵守等を分析し検討する。

完了した共同研究

紛争海域における資源に関する共同管理協定(JMAs)及びその実現可能な履行(2021-2023年度)(JSPS二国間交流事業)
メンバー(敬称略)今井宏平(アジア経済研究所)沖祐太郎(九州大学)下山憲二(海上保安大学校)竹内明里(崇城大学)來田真依子(大阪経済法科大学)
概要:海洋法上、海域への権原が重複する場合には、重複する国家同士が海洋境界を画定し、その後に、関係国が納得した形で海域を利用することが求められている。しかしながら、現実には海洋境界の画定が上手くいかないことも少なくない。日本の場合、海洋境界の画定とは別に、島に対する領有権についての争いもあり、これまで、周辺国との間では、韓国との一部の境界を除き画定が実現していない。特に、中国との関係においては、尖閣諸島の領有権に対する争いもあり、現在まで、境界画定の目途がたっていない。そこで本研究は、海洋境界が難航、あるいは現段階では不可能と思われる水域において、境界画定を実現せずとも資源を有効利用するメカニズム、具体的には、「紛争海域における資源の共同管理協定(JMA, Joint Management Agreement)」のあるべき姿を構想することを目的とする。研究を進めるにあたっては、石油・天然ガスなどの非生物資源の利用を念頭におくJMAだけでなく、これまで十分に注目されてこなかった魚などの生物資源をも対象とするJMAも含み、対象地域としては、中国との関係が深刻化する東シナ海、トルコがギリシャとの問題を抱えるエーゲ海及び東地中海に着目する。