インタビューを受けたこちらの記事で扱う、影の船団について。影の船団の詳細については記事でも若干触れている通りかつ、情報は既に相当程度調査されていると思いますが(例えば、こちらの記事)、海洋法的には、国際的に定めた労働・環境規制を迂回することなどが問題となります(労働規制については(海洋法【313】)、環境規制については(海洋法【404】))。ロシアから目的地まで寄港せずに航行することを可能とするために、バンカリングや洋上積替え(STS (ship-to-ship)transfer)を沿岸国のEEZ内で、国際基準に合致しない形で行います。その結果、甚大な汚染を引き起こす事故が起きるリスクが高いこと、そして、その際に責任を負う者がいない可能性が高いこと(通常は保険などが義務付けられる船主が負うものの(海洋法【425】)、影の船団はそうした保険などの規則も遵守していないとされています)などが問題となるわけです。まず、バンカリングそのものについては、沿岸国がEEZで規制できるかについては先例を見る限り疑問が残ります(海洋法【328】)。洋上積替えについても、環境規制の形から沿岸国がどこまでできるかは明確ではありません。沿岸国は海洋環境について管轄権を有するものの(海洋法【159】)、少なくともこれまではその行使について消極的であったと言えると思います。これを、どこまで広げてやるか(やることができるか)が改めて問われます。また、オープンレジストリー(海洋法【69】)が普及した今日、旗国だからというだけで責任を追及することの難しさがあることも事実です(海洋法【281】)。ただ、この旗国の責任についても、これまでの慣行を変えていかないと対応ができないため、そうした動きが現れるかが注目されます。