一昨日から報道されている、米国がベネズエラからの麻薬運搬船を攻撃した際に民間航空機に擬装したのではという問題について。まず、こちらの記事にもあるように、そもそも、この事例では武力紛争が存在せず(海洋法【619】【624】)、海戦法規は適用されないと思われます。その場合、海洋法が適用されますが、海洋法条約110条は、臨検をするのは軍艦ということを前提にしています(軍艦の定義については、海洋法【610】)。米国が行ったのは臨検ではなく爆撃ですが、警察活動を行えるのは、軍艦及び公船のみであるため、民間航空機への擬装は国際法違反との主張もある程度可能と言えるかもしれません。他方、武力紛争が存在して武力紛争法が適用される場合、陸戦・空戦・海戦のいずれの法規則が適用されるかは、攻撃対象がどこに位置するかで決まります。そのため、対象が海上にある場合、たとえ攻撃が空からであっても海戦法規が適用されることとなります(海洋法【600】)。そうなると、背信行為が武力紛争法一般で禁止される一方で、海戦法規においては、商船の擬装は合法とされている点にも留意する必要があるでしょう(海洋法【642】)。民間航空機の擬装の先例は把握していませんが、商船への擬装が許容されるなら、海戦法規においては民間航空機への擬装も許容される、というロジックでしょうか。そこまで説得力があるとも思いませんが、違法とは言い切らせない主張にはなるかもしれません。